プロジェクト・ユートニックのはじまり(1/3)

はじめまして。ユートニックの常田と申します。
ブログの初投稿として、ユートニックを始めるに至った僕らの思いや考えを記しておければと思います。

結果的に長くなり、3回に分けての投稿となってしまいましたが、これが僕らが事業を開始したタイミングでのラフな「事業初期仮説」です。
合っている部分もあるかもしれないし、間違っている部分もあるかもしれない。
今後事業として運営していく中で、検証を重ねていき、より解像度を上げていければと思っています。

◆「音楽・アート x IT」でイノベーションを

簡単に私の自己紹介をしておきます。

常田俊太郎
●1990年生まれの28歳
●学生時代:幼少から習っていたヴァイオリンの活動に勤しみ一定の成果を出す(日本クラシック音楽コンクール全国大会第5位、江藤俊哉ヴァイオリンコンクール全国大会第3位、学生音楽コンクール東京大会入選など)大学時代はオーケストラでコンサートマスターも務める。
●卒業後、戦略系コンサルティングファームであるコーポレイトディレクションにて経営コンサルタントとして活動。丸6年間在籍。
●コンサルタントとしては、ITベンチャーを中心に新規事業や中期計画策定などのテーマで支援。その他、インフラや金融、メーカーなど幅広い業種に携わる。

ユートニックは、経営コンサルタントとしてビジネス側の経験を積んできた常田と、 ベンチャー企業でエンジニアとしてプロダクト開発の経験を積んできた今井の二人で創業した会社です。

起業分野として、「音楽」や「アート」を選ぶというのは、私たちにとって色々な意味でとても重大な選択でした。
もっと儲かりそうな分野、立ち上がりが早そうな分野の方がいいんじゃないか、と考えたこともありました。
しかし、そのような強い理由で思い入れがないテーマを手がけた時に、少し何か壁にぶつかった時にすぐに心が折れてしまうんじゃないか、と。これは容易に想像ができました。
そうしたら自然と、もともと僕らが強い熱意を持てる領域「音楽」「アート」という領域で事業を興すという覚悟ができてきたように思います。

ビジネスコンサルタントとして色々な業界のビジネスを広く見てきた経験と、エンジニアとして実際のプロダクトを開発してきた経験を掛け合わせて、音楽やアートの業界を俯瞰的に捉えて何か変革を起こせたらという思いで、創業しました。

◆価値消費は分散、収束、そしてまた分散へ

音楽を例にとって、価値消費のマクロな構造を時系列で捉えてみると、
大きく3つの時代に分類できます。

①マス化以前(〜20世紀初頭) ・・・分散
録音・録画技術や放送技術がなかった時代は、音楽はそれぞれの地域ごとの営みでした。中には世界中に演奏旅行をするようなアーティストもいましたが、地理的制約は非常に大きく、世界中はおろか一国内でも同じ音楽が共通して人気を博しているという状況は希少なことだったと考えられます。
いわゆるパトロンがアーティストを支えていた時代でもあり、音楽はあくまで「スモールビジネス」でした。

②マス時代(20世紀初頭〜21世紀初頭) ・・・収束
ところが、録音・録画技術や放送技術が整備され、地理的な制約を超えて、どこにいようが1アーティストの作品を楽しめるようになりました。また、マスメディアがパワーを持ち始めると、一部のトップアーティストが高い認知・人気を誇るようになりました。
「世界的」「国民的」アーティストがたくさん出現するようになり、レコード会社がこぞって参入する「スケールビジネス」へと姿を変えました。

③ポスト・インターネット時代(21世紀初頭〜) ・・・分散
これが、誰でも発信ができるインターネットの普及によって、変わってきました。インターネットによって、ニッチなアーティストでも、世界中に自由に発信することができ、同じような好みを持つ仲間とも地理的制約を超えて繋がれるようになりました。
また、デジタルコンテンツが無料あるいは廉価で楽しめるようになるにつれ、そのカウンターとしてリアルでのライブの価値がどんどん上がってきました。

僕らはいま②→③の端境期にいます。
いわば、レコードが誕生して以降100年ぶりの大きな変革のタイミングに来ているのです。

現状は、特に地方や中高年層を中心にマスメディアのパワーはまだまだ強く、実は未だ②的なビジネスモデルやその変形が中心ではあります。
しかし、その変化は確実に今後数年でも進展しますし、その過程で様々な新しいモデルが試行錯誤されることになります。

僕らは、③の時代のアーティスト活動のあり方を模索し、定義していかなければならないのです。

◆アーティストの多様な成功を創り出す

③の時代においては、「アーティストの成功のあり方」というものが変わっていく、 あるいは多様化していくと僕らは考えています。

②の時代であれば、メジャーレーベルに所属して、いかにタイアップやマスメディア露出を獲得して全国的な認知・人気を得るか、あるいはどうパッケージ(CD)の販売枚数やライブ動員数を最大化していくか、ということが成功のわかりやすい定義になっていました。

ただ、この成功モデルの弱点は、ニッチな分野でアーティストとして成功するのが非常に難しいということです。全国民にある程度広く受け入れられ得るアーティストでないと、マスメディアは取り上げづらいですし、レコード会社をはじめとした音楽関係の事業者も、お金や人手をかけて取り扱いにくいからです。
ごく一部の人だけが成功できるモデルなのです。

しかし、アーティストの成功というのをそもそも論で考えてみると、自分の表現したいことが実現でき、それを好きな人に支えられて生活がしっかり回っている状態のことだと思うのです。
全国的な知名度がなくても、ある層に熱狂的なファンがいて、小さくてもその人たちをお客さんにしてうまく回っている状態は、それはそれで立派な成功だと言えるのではないでしょうか。

③の時代になると、そのような色々な成功のあり方が実現しやすくなり、可視化されていくと思います。
例えば、
●ファンの数は少ないが、コアなファンが多額の支援を行うことで成り立つアーティスト
●非常にニッチなジャンルだが、グローバルにファンが広がっていくアーティスト
●ファンとスタッフが同化していて、ファンが運営を担い、集団で売っていくアーティスト
など。
兆候はすでに出て来ています。

僕らとしては、サービスや取り組みを通じて、従来的な「成功」だけでない、多様な「成功」を作り出すことに寄与していきたいと思っています。
そうすることで、ニッチな分野も含めてアーティストとしてやっていける人の絶対数が増えていくし、よりアーティストにとって活動しやすい環境になると信じているからです。

その中で、次で書くような「お金の話」は避けて通れない課題だと考えています。

(2へ続く)