プロジェクト・ユートニックのはじまり(2/3)

ユートニック常田です。
前回は、僕らの思いや考え方を中心に書きました。
2回目は音楽業界のお金の話をしたいと思います。

◆音楽業界の「お金の話」

このグラフは、ここ10年国内の音楽市場規模の推移です。
(主要項目である、パッケージ、有料配信、ライブのみ含みます)

出所:日本レコード協会、ぴあ総研より分析

ご存知の通り、CDをはじめとするパッケージの売り上げが急減している一方、ライブが安定的に伸びています。これを見ると、CDの売上減少をライブ収益で補っている構造に見えます。

しかし、ライブを行うためにはコストがかかります。ライブで利益を出すのは結構難しい。
相当大きな規模のアーティストでもライブのみだとほとんど利益は出ず、物販も含めてなんとか利益が出る程度だという話はよく聞きます。
売上では大きく成長していても、手元に残る額で考えると、「高利益率商材」であるCDの落ち込みをライブだけではなかなか補えないのが現状です。

ストリーミングについてはどうでしょうか。
実際、ストリーミングで全世界的にリスナーを掴んでいるグローバルクラスのトップアーティストの収入は相当なものになるようです。
しかし、ストリーミングでの収入は1再生あたり0.2-1円程度と言われていますので、グローバル規模で再生回数が跳ね上がらない限り、これまで「売れすぎていたCD」の落ち込みをストリーミングのみで補うのはなかなか難しそうです。

◆収益構造を転換する 〜ゲーム業界に学ぶ〜

僕らは、音楽業界がゲーム業界から学ぶことは、結構多いのではないかと考えています。

ゲーム業界は、以前はコンソールが中心で、ハードとソフトを買いきりで買って遊ぶというものでした。買わないと一切遊べない代わりに、一度買ってしまえばどれだけやり込んでも、逆に数回遊んで飽きてしまっても、同じ値段です。
すなわち、プレイ人口全体に対して、中単価で課金するようなビジネスモデルであると言えます(下図の①)。

これは音楽でいうところのパッケージ販売ビジネスに該当します。そこそこのファン全員から1,000円なり2,000円なりをとる「中単価×多数販売モデル」です。
音源を聴きたい人からはこの金額を取れる一方で、逆にどんなにコアなファンでも、たまにライブに行きグッズを買う、あるいはファンクラブに入るという程度しか消費ポイントがなく、傾斜の緩いコンソールゲームと似たグラフになると考えられます(下図①)。

一方、ゲーム業界は、モバイル端末を利用したソーシャルゲームが出現してからビジネスモデルが大きく変わりました。
無料でもそこそこしっかり遊べるが、コアにやり込んでいる場合は月に10万以上課金しているファンもザラにいるという構造です。(これ自体への是非は一旦置いておいて・・・)
いわゆるフリーミアムモデルで、ファンのコア度によってそれに見合ったお金の使い方をするようなモデルです(下図の②)。

音楽についても、YoutubeやSpotifyなどのサービスが発達したことで、無料や廉価でかなりのことが楽しめるようになりましたが、実はコアなファンがどのようにお金を使うかというのは、その前の時代とそれほど変わっていないのではないでしょうか。
極端に言えば、コアファンへのマネタイズポイントが弱いまま、ライトファンへの裾野を解放してしまったような構造と考えられます。

アーティストが安定して制作活動に集中できるに足る正当な収入を得られるためにも、 音楽業界が本当の意味でのフリーミアムモデルに移行していけるような仕組みやサービスを提案していくことが、僕らの重要なミッションだと思っています。そのために、コア層がもっと気持ちよくアーティストを支援できるような価値の流れ・お金の流れを作っていくことが重要になります。

次回、それに向けたアプローチを含めて、僕らのやろうとしていることについて書いていきたいと思います。

(3へ続く)